税金に関する申告書や申請書、届出書は提出期限が定められています。
しかし、提出期限が休日や祝日の場合は税務署などは休みですから書類提出することは出来ません。
そこで、提出期限が休日や祝日と重なる申告書などはいつまでに提出すればいいのかをまとめました。
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提出期限がある書類
会社を経営していくと、提出期限がある書類はたくさんあります。
特に税金関係の書類は提出期限が細かく定められています。
代表的なのが申告書です。
個人の場合、所得税・贈与税の申告書は翌年の3月15日まで、消費税の申告書は翌年の3月31日まで、相続税の申告書は亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
法人の場合、法人税・消費税は共に決算日の翌日から2ヶ月以内です。
税金の納付期限も申告書の提出期限と同じとなっています。
その他にも、源泉所得税の納付書は給与を支払った月の翌月10日まで(一定の場合は延長があります)ですし、法定調書合計表は翌年の1月31日までです。
また、届出書や申請書関係もそれぞれ期限が決められています。
例えば所得税の青色申告承認申請書は、
「青色申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に、新たに事業を開始したり場合には、事業開始の日から2月以内。)」です。
このように、書類によって細かく期限が決められており、その期限を1日でも過ぎるとペナルティを受けたり、特典が受けられなかったりします。
提出期限が休日や祝日の場合の取り扱い
では、提出期限が休日や祝日だった場合はどうなるのでしょうか?
結論を言うと、基本的には
「次の平日(日曜日が提出期限だった場合は月曜日)」
となります。
その理由は、国税通則法にこう書かれているからです。
国税通則法第十条(期間の計算及び期限の特例)
2 国税に関する法律に定める申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付又は徴収に関する期限(時をもつて定める期限その他の政令で定める期限を除く。)が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもつてその期限とみなす。
要するに、申告書や届出書の期限が法律によって定められている場合、その期限が日曜日、祝日、政令で定める日(土曜日、年末年始)に該当するときは、その日の翌日(平日)となるということです。
ちなみに政令で定める日は国税通則法施行令で定められています。
国税通則法施行令第二条(期限の特例)
2 法第十条第二項に規定する政令で定める日は、土曜日又は十二月二十九日、同月三十日若しくは同月三十一日とする。
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提出期限が休日や祝日であっても延長されない届出書
次の届出書は、提出期限が休日や祝日であっても延長されません。
届出書名 | 届出が必要な場合 | 提出期限 |
消費税簡易課税制度選択届出書 | 簡易課税制度を選択しようとするとき | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで |
消費税簡易課税制度選択不適用届出書 | 簡易課税制度の選択をやめようとするとき | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで |
消費税課税事業者選択届出書 | 免税事業者が課税事業者になることを選択しようとするとき | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで |
消費税課税事業者選択不適用届出書 | 課税事業者を選択していた事業者が免税事業者に戻ろうとするとき | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで |
消費税課税期間特例選択・変更届出書 | 課税期間の特例を選択又は変更しようとするとき | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで |
消費税課税期間特例選択不適用届出書 | 課税期間の特例の適用をやめようとするとき | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで |
任意の中間申告書を提出する旨の届出書 | 任意の中間申告制度を適用しようとするとき | 適用を受けようとする6月中間申告対象期間の末日まで |
任意の中間申告書を提出することの取りやめ届出書 | 任意の中間申告制度の適用をやめようとするとき | 適用を受けようとする6月中間申告対象期間の末日まで |
青色申告の承認申請書(法人税) | 法人税の確定申告書、中間申告書等を青色申告書によって提出することの承認を受けようとする場合 | 青色申告によって申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日まで |
減価償却資産の償却方法の変更の承認申請書(法人税) | 既に選定している減価償却資産の償却方法を変更しようとする場合 | 新たに償却方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日まで |
他にも、「棚卸資産の評価方法の変更の承認申請書」などがあります。
これらのほとんどは、消費税の届出書です。
なぜ、延長されないのかと言うと、提出期限が「〇〇から〇〇日以内」のように日付を持って法律によって定められていないからです。
消費税簡易課税制度選択届出書を例にとると、消費税法には次のように書かれています。
※長いので、読み飛ばしてもらっても大丈夫です。
消費税法
第三十七条(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、その納税地を所轄する税務署長にその基準期間における課税売上高(同項に規定する基準期間における課税売上高をいう。以下この項及び次条第一項において同じ。)が五千万円以下である課税期間(第十二条第一項に規定する分割等に係る同項の新設分割親法人又は新設分割子法人の政令で定める課税期間(以下この項及び次条第一項において「分割等に係る課税期間」という。)を除く。)についてこの項の規定の適用を受ける旨を記載した届出書を提出した場合には、当該届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間(当該届出書を提出した日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が五千万円を超える課税期間及び分割等に係る課税期間を除く。)については、第三十条から前条までの規定により課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、これらの規定にかかわらず、次に掲げる金額の合計額とする。この場合において、当該金額の合計額は、当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。
引用:消費税法
まとめますと、
「簡易課税制度は、消費税簡易課税制度選択届出書を提出した日の属する課税期間の次の課税期間から適用する」
ということが書いてあります。
このように、法律で「〇〇日から〇〇日以内」のように日付をもっていつまでに提出しなければならないと書いていないので、提出期限が延長されないのです。
法人税の青色申告の承認申請書なども、「事業年度開始の日の前日までに提出」となっていますので、「〇〇日から〇〇日以内」のように日付をもって法律により定められていないこととなります。
これに対して所得税の青色申告の承認申請書は提出期限が休日や祝日の場合は延長されます。
いずれにせよ、提出物は期限ギリギリではなく余裕を持って提出することが大切です。
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