2020年12月10日に、令和3年度の税制改正大綱が発表されました。
新型コロナウイルスの影響を受けている方々が多いなかどのような改正があるのか?
その中でも、フリーランスや中小企業に影響ありそうな内容をまとめました。
まずは、所得課税のみまとめました。
資産課税、法人課税は順次更新していきます。
あくまでも現時点で判明している内容の速報版となります。
実際の取り扱いが異なる場合もございますのでご注意ください。
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所得課税
住宅借入金特別控除の特例措置の延長
住宅借入金等特別控除について消費税が10%である住宅を取得した場合、住宅借入金等特別控除を受けられる期間が3年間延長されるという特例措置があります。
この特例を受けるには、新築住宅の場合、令和2年9月30日までに契約して令和3年中に居住する必要がありましたのが、この特例を受けられる期間が延長されました。
具体的には、次の要件を満たす必要があります。
- 令和3年1月1日から令和4年12月31日までに取得した家屋に居住すること
- 下記の期間内に契約すること
新築の場合・・・・令和2年10月1日から令和3年9月30日までの期間
分譲または増改築の場合・・・・令和2年12月1日から令和3年11月30日までの期間
延長される報道が早い段階からありましたが、やはり延長されました。
また、控除率を一律1%とするのではなく、1%と住宅ローンの金利とのいずれか低い方にしたほうが良いのではないかという意見もあったようですが、今回は見送られたようです。
来年見直されるような気がします。
住宅借入金特別控除を受けられる住宅の拡大
住宅借入金特別控除の対象となる住宅は、床面先が50㎡以上である必要がありましたが、今後は適用範囲を拡大し、40㎡以上の住宅であれば適用を受けれることとなります。
ただし、40㎡以上50㎡未満である住宅に対して住宅借入金特別控除を受ける場合は所得制限が設けられ、その年分の合計所得金額が1,000万円を超える年は適用されません。
最近は夫婦のみや一人暮らしで小規模な住宅を取得する場合があるため、改正が行われたようです。
ただ、岐阜県のような地方の場合は、あまり影響がないかと思います。
セルフメディケーション税制の延長
セルフメディケーション税制の適用期限が、一定の見直しを行ったうえで5年間延長されます。
正直のなことを申し上げますと、セルフメディケーション税制を使ったことは一度もありません。
医療費控除との選択になっていますので、どうしても医療費控除の方が有利となるケースの方が多いのです。
医療費を抑制させるための税制措置だとは理解していますが、もう少し使いやすい制度になることを期待しています。
退職所得課税の見直し
退職所得は、長期間の勤務に対する労いの観点から税制上も優遇されています。
具体的には、退職所得の支給額から勤務年数に応じた金額(退職所得控除額)を控除をし、その金額を2分の1をした金額に課税されることとなっています。
勤務期間が5年以下である場合に、支給金額から退職所得控除額を控除した金額が300万円を超えるときは、この300万円を超える部分の金額については、最後の2分の1にする措置が受けられなくなります。
つまり税額が増えます。
この改正は、令和4年以後の所得税から適用されます。
勤務期間が5年以下である一定の役員に対しては、従前から2分の1にする措置が適用できないようになっていました。
一定の金額以上の退職金を受け取った場合は、上記のような措置が役員以外の一般の従業員に対しても拡大されます。
税制上は退職金の支給を受けるときは、5年以上働いた方が良いという結論になります。
ただ、税金のためだけに、転職のタイミングを伸ばすのはどうなのかなとは思いますが。
退職所得に対する課税については、何年も前から見直しの声が挙がっていますので、今後も見直しが進んでいくのではないかと思います。
国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置
国や自治体から子育てに係る助成を受けることがありますが、現在はこの助成に対して所得税がかかってしまいます。
今後はこの助成は所得税が非課税となります。
今年の夏頃に、特に東京都で問題になっていました。
源泉徴収関係書類の提出にあたって電磁的方法による提供を行う場合の承認の廃止
従業員が給与所得者の扶養控除等申告書などの源泉徴収関係書類を、会社に電磁的方法(データ)で提出する場合は、会社が事前に税務署長から承認を受ける必要がありましたが、承認が不要とされます。
承認が廃止されて、届出制になるのか届出もいらなくなるのかはまだわかりません。
まとめ
令和3年度の税制改正大綱の所得課税の改正については、「大きなものはあまりない」というのが正直な感想です。
現在のコロナ禍では、納税者に不利になるような改正はおこないづらかったのではないかと想像できます。
もし来年コロナが収まっていれば、令和4年度の税制改正では、上記に記載した納税者が不利になるような住宅ローン控除の見直しは行われるかもしれません。
個人的な意見としては、所得税は近年の改正によりかなり複雑になってしまっていますので、もう少し簡素化されることを願っています。
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